kenia­mariliaの現在地のご報

kenia­mariliaの現在地のご報

日本の着物文化を、再び日常に。

先日、お客様から、「keniamariliaさんは、着物文化の“何を”守ろうとしていて、今はどのステージなのでしょう。コミュニケーションがなくては、わからない」というお声をいただきました。

おっしゃる通り、確かにお伝えてしていなかった。
その言葉に、衝撃と猛省と、いろいろな感情が一気に押し寄せました。私たちは「つくること」に重きを置きすぎて、なぜつくっているのか、何を目指しているのかを、丁寧にお伝えすることを怠っていたのだと思います。

そこであらためて、今のkeniamariliaをお伝えしなくてはいけないと思いました、今日は、keniamariliaが何を考え、何を目指し、今どのステージにいるのか。

そして、これから進もうとしている中で見えてきた、私たちの「誤算」についても、正直にお伝えしたいと思います。

私たちが守りたいもの

keniamariliaは創業当初から
「日本の着物文化を、再び日常に。」
「すべては、着物産業の発展、着物文化永続のために。」

というテーマの元ものづくりを進めてまいりました、私たちが発表するプロダクトは、すべてこの考えに基づいています。どうやったら日常に戻ってくるだろう。どうやったら生活の延長線上に存在するだろう。私たちは、産業の発展と文化の永続のかなめは、「生活の延長線上に存在すること」だと考えています。

自分の生活の中に存在しないものを、人はなかなか選びません。そもそも、選択肢に上がることも難しい。だからkeniamariliaは、これまで着物を現代の服へと仕立て直すことから始まりました。着物や帯に残された美しい生地を、もう一度、今を生きる人の暮らしの中へどうやったら戻せるのか。それが、私たちの最初の一歩でした。

そして今、次のフェーズへ

そして今、私たちは次のフェーズへ進んでいます。それは、「新たな生産」です。創業当初に書いたnoteにも、「伝統産業、文化の永続、発展を守るために必要なのは、新しい『需要』と新しい『文化構築』一択」と書きました。今も、その考えは変わりません。むしろ、今だからこそ、より強くそう思っています。これまで私たちは、すでに存在している着物や帯の生地を、もう一度暮らしの中へ戻し新たな需要を生み出すことに取り組んできました。けれど、それだけでは文化を未来へつないでいくことはできない。新しい需要をつくることで、新たな生産を生み出さなければなりません。その需要に応え続けることのできる、新しい生産をつくること、これが大きな課題です。そこまでやって初めて、次の世代へつながっていくのだと考えています。

ところが、ここで大きな誤算がありました。

「よし、量産へ少しずつ軸を移すぞ!」そう決めて、私たちは新たな生産へと動き始めました。ところが。

一歩目で、つまずきました。

本当にお恥ずかしい話なのですが、私たちは「量産は、やろうと思えばできる。必要なのは数なんだ」と思っていたのです。しかし、実際にものづくりの現場へ入ってみて、わかりました。量産するためには、単にたくさん発注すればいいわけではない。そもそも、それをつくる人がいて、つくる環境があって、材料があって、つくるための時間が必要なのです。

アパレルは、すでに布の在庫が存在します。その布を購入して工場に投入すれば、1〜2か月で200着ほど完成することもあります。けれど、着物や帯は、織り出すところからスタートすることがほとんどです。織るにも、染めるにも、とても時間が必要です。3か月後にようやく1反織り上がるということも、決して珍しくありません。織る。染める。そして仕立てる。ひとつのものができあがるまでに、いくつもの工程があり、それぞれに必要な時間があります。

アパレルと同じスピードで進めることはできませんでした。

そして今、その「時間」を担ってくれる背景そのものが、失われつつあります。
「昔なら、もっとたくさん作れた」
実際にものづくりの現場で、こんな言葉をいただきました。
「全盛期なら、この工場には20人おって毎日染めてたから、もっとたくさん作れたんだけどね」
「昔は織り台が何十もあって毎日動いてた。だから座波さんのおっしゃる数もできたんだけどね。今は少しずつならね」

その言葉に、衝撃を受けそして恥ずかしくなりました。私たちは、何も見えていなかった。
これまで当たり前に存在していた「つくれる背景」が、すでに当たり前ではなくなっている。人がいて、設備があって、技術があって、毎日ものをつくっていた。その環境そのものが、少しずつ失われているのです。

今、私たちが向き合っていること

だから今、私たちは「時間」をすり合わせ、調整することに時間をかけています。私たちがつくりたいもののスピードと、着物や帯がこれまで積み重ねてきたものづくりの時間。文化も背景も異なるからこそ、時間の流れも、ものづくりの背景もまったく違います。簡単にはいきません。でも、ここをつなぎ直さなければ、新しい生産の土台をつくることも、その先の文化をつないでいくこともできない。

今のkeniamariliaは、まさにその途中にいます。「量産へ移行します!」と高々と宣言した私たちですが、もう少しだけ時間が必要です。ごめんなさい。でも、止まっているわけではありません。

今、私たちはこれまで以上に深く、ものづくりの現場と向き合っています。
これまで存在していたものを、ただ残すのではなく。これからも「つくることができる」未来をつくるために。
そして、日本の織物文化が、もう一度誰かの生活の延長線上に存在するために。keniamariliaは、今、その土台をつくっています。まだ、途中です。

引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます

keniamarilia 代表 座波ケニア